交通事故が起こった場合、当事者双方が「相手が悪い!自分が被害者だ!」などと言って、損害賠償責任の所在及びその程度に争いがある場合があります。このような状況で、自賠責保険会社に対して、保険金請求権を行使すること(本請求)は、本来できません。
しかし、被害者は、交通事故によって現に怪我をしたり死亡している場合、治療費や葬儀費などがどうしても必要になってきます。賠償責任の有無及び損害額が確定しない限り、これらに関する保険金を受けられないとなると、非常に困ります。これでは、被害者救済を第1次的な目的とする自賠責保険制度が機能しないことになります。
このような事態を回避するため、人身損害の生じている事故の場合、被害者は、自賠責保険会社に対して、一定額を、被害者請求の仮渡金として請求することができます(自賠法17条)。
仮渡金の金額は、以下のとおりです(※被害者1名当たりの金額です)。
1.死亡 | 290万円 |
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2.次の傷害を受けた者
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40万円 |
3.次の傷害(上記2.のi.~v.の傷害を除く)を受けた者
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20万円 |
4.11日以上医師の治療を要する傷害(上記2.及び3.の傷害を除く)を受けた者 | 5万円 |