交通事故の相談をしようと思ってインターネットで検索してみたところ、弁護士事務所のほかに、交通事故を扱っている行政書士事務所や司法書士事務所がヒットすることがあります。
しかし、どれも法律に関する国家資格を取得した専門家ですが、一般の方からすると、一体どの専門家に相談したらよいのか、よくわからないこともあるかと思います。
この点は、以下のとおり、それぞれの専門家の権限・職域・限界等を踏まえて選択する必要があります。
日本行政書士会連合会のホームページによると、行政書士の業務内容として、1.官公署に提出する書類の作成とその代理、相談業務、2.権利義務に関する書類の作成とその代理、相談業務、3.事実証明に関する書類の作成とその代理、相談業務、が挙げられています。
このように、行政書士は、本人の相談を受け、本人に代理して上記の書類を作成することが中心となります。
交通事故の分野で行政書士が行うことができるのは、基本的には、後遺障害の申請・異議申立の書類を作成し、関係機関に提出すること等です。仮に、これを超えて、行政書士が、報酬を得る目的で、その後の加害者・保険会社との示談交渉等の法律事務を行うと、非弁行為(弁護士法第72条)として、2年以下の懲役又は300万円以下の罰金(同法第77条)に処せられる可能性があります。そのため、行政書士に相談をしていても、加害者や保険会社との交渉は、怪我を負っている被害者自身が行う必要があります。また行政書士は、当然、裁判もできません。
「後遺障害等級認定は行政書士に依頼、その後の交渉・裁判は弁護士に依頼する」という方法もあり得ますが、この方法だと、まず依頼者には、行政書士費用と弁護士費用が二重にかかってしまいますし(当事務所では、示談交渉・裁判の報酬の他に後遺障害等級認定手続の費用は別途頂いておりません。他の弁護士事務所でも同様のところが多いと思います。)、被害者が、行政書士事務所と弁護士事務所への相談のためにそれぞれ足を運び、事故のことについて少なくとも2回説明しないといけません。また、行政書士段階で適正な後遺障害等級が認定されていれば問題ありませんが、仮に、行政書士段階で認定された等級が不十分だった場合、弁護士へ依頼した後に改めて弁護士が異議申立をする必要が出てきます。
以上のことからすると、一般的には、当初から弁護士に依頼していた方が、依頼者にとっては、時間・費用・労力のすべての面で、負担が少なくて済むということも十分にあり得ます。特に当事務所では、後遺障害について日々研鑽を積み、医学的・専門的見地から後遺障害等級を獲得することに注力しており、また後遺障害に関する豊富な実績・経験がございますので、交通事故被害者の方は、行政書士へのご相談を介さずに直接、当事務所にご相談頂ければと思います。
司法書士の業務内容は、おおよそ以下のものです(司法書士法第3条及び同法施行規則第31条)。
司法書士は、基本的には、法務局を相手に登記・供託手続を行うことが中心でしたが、クレサラ問題(過払金返還請求、債務整理等の案件の急増)に既存の弁護士人口では対応できず、この不足分を補うため、司法書士法の改正により、司法書士の業務の権限が拡大されました。その結果、上記(1)カに記載されているとおり、法務大臣から認定を受けた司法書士(これを「認定司法書士」といいます。)は、140万円以下の紛争解決業務を行うことができ、簡易裁判所での訴訟代理業務を行うこともできるようになりました。
最近、テレビのCMなどでも、過払金返還請求の広告を出している司法書士事務所をよく見かけますが、これは、上記の司法書士法改正によって、司法書士が可能になった業務分野です。
もっとも、司法書士に解禁された業務に「過払金返還請求」や「債務整理」という縛りは設けられておらず、140万円以下の紛争解決業務であれば、すべて行うことができますので、法律上は、交通事故に関しても、損害額が140万円以下のものであれば、認定司法書士に依頼して、示談交渉・訴訟を行ってもらうことができます(※なお、この場合でも、依頼する司法書士が、通常の司法書士ではなく、「認定司法書士」であることを確認する必要があります。)。なお、司法書士が140万円を超える紛争解決業務を行った場合に弁護士法違反となる点については、上記の行政書士の場合と同様です。
司法書士に依頼する場合と弁護士に依頼する場合とで、大きく異なるのは、知識・経験・専門性の違いという点と法律上の限界の違いという点が挙げられます。
以上のとおり、司法書士に交通事故を依頼した場合には、そもそも司法書士の扱うことができる法的範囲は極めて限られていますので、様々な場面で、弁護士への切り替えが必要になる場面が出てきて、費用の面でも労力の面でも、交通事故被害者に無用な負担がかかることになります。
以上の行政書士や司法書士に依頼する場合のデメリットをすべて克服できるという点が、弁護士に依頼する場合のメリットでもあります。
弁護士であれば、行うことができる業務範囲に制限はなく、交通事故の後遺障害認定手続・示談交渉・裁判手続をすべて行うことができます。また、交通事故分野の知識・経験・実績においても、行政書士・司法書士とは雲泥の差があるものと自負しています。さらに、弁護士が被害者側の代理人になるだけで、相手方保険会社との金額交渉において裁判基準がベースになりますので、本人で交渉する場合や司法書士が代理人になる場合よりも、相手方保険会社から高額な示談金額が提示される可能性が高くなるという、示談交渉上のメリットもあります。
一般に、「あまりオオゴトにしたくないし、弁護士に依頼するなんて、費用が高くつきそう…。とりあえず、行政書士(司法書士)に相談してみよう。」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、交通事故に遭った時点ですでにオオゴトですし、当事務所では、初回相談料及び示談交渉の着手金が無料(※訴訟提起する場合のみ訴訟着手金10万円(消費税別))、報酬額は獲得した金額の10%~20%(消費税別)のみですので(→「弁護士費用」)、交通事故に遭われた方は、行政書士及び司法書士を介さずに、安心して、直接、当事務所へご相談ください。